Everything Flows vol.4『財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上』

代表の高木です。もうすぐ、ワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)が開催されます。私はかつて野球少年で、今も地域の少年野球の監督をやらせて頂いています。

若い社会人は「オジサン世代はすぐに野球に例える」といわれるようですが、私も同じです(苦笑)。それにめげず、会社を経営していて、とても好きな言葉をご紹介します。

「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すは上」

日本プロ野球界の名将、故・野村克也監督の言葉です。

ずっと野村監督が考えた言葉だと思っていましたが、調べてみると、明治時代の政治家・後藤新平の言葉でした。お金を残すのは一番下で、仕事を学ばせるのは中、人として育てて残していくことは一番価値がある、という意味です。

野村監督が大切にしていたのは「選手の個性を見極めることの大切さ」でした。

「見つける、育てる、活かす。(野球は)9つのポジションでいろいろな条件があるから、その条件に合うか合わないか、見つけるのも監督の仕事」(野村監督)。

現在、日本ハムファイターズ監督ビッグボスこと新庄剛志監督。現役時代、阪神タイガースで野村監督のもと、驚くべき育成をされました。

新庄が打撃不振に陥っていた時、悩む新庄の外野手としての「強肩」に目を付けてピッチャーとして起用したのです。プロ野球の世界で、野手をピッチャーに起用することは、なかなかありません!(最近では、中日の根尾選手くらい)。

新庄選手の投手起用は、私も当時のスポーツ新聞に、連日、「新庄!ピッチャー起用!」の見出しが踊って「ほんとかなあ」と思っていたら、公式戦で本当に新庄がマウンドに立って、本当に驚いたのを今でも覚えています。

ちなみに、140キロ代の速球で打者を打ち取り、打撃不振から脱出した新庄は、その後、打撃成績も大きく伸ばし、シーズン中、主力として活躍しました。

「人間のいいところは、どんな可能性があるのか、その可能性を引き出す、見つけることが人生そのもの。(選手が)持って生まれたものだから、それを発揮したらいい。そういうのを見抜いてやるのも監督の手腕のひとつ」(野村監督)

新庄監督だけでなく、ヤクルトスワローズの高津臣吾監督、オリックスバッファローズ・中嶋聡監督、さらに、東京五輪で金メダルを獲った侍ジャパン・日本代表の稲葉篤紀監督、そして、その後を受け継いで、今の侍JAPANを率いる栗山秀樹監督も野村監督の教え子です。コーチや裏方スタッフを含めると「野村の教え子」はとんでもない数になります。

今回、WBSに選手として、参加して大注目を集めているダルビッシュ有選手も、野村監督のことをすごくリスペクトしています。

「特に若い人には『夢を持て、夢を持って生きろ』。この一点だけでいい」(野村監督)

人として尊敬していています。いや~本当にすごい人です。